特集 まるごと!なんぶ
「特集まるごと!なんぶ」では、南部広域圏内で繰り広げられる市町村共通の魅力あるイベントや伝統行事などをご紹介します。
2010年12月03日
王国時代の石積み文化圏
王国時代の石積み文化圏
沖縄には300余のグスクが存在すると言われている。しかし、その全てが戦うための城の機能は持っていない。
グスクのイメージは、堅固な石垣に求めるが、しかし多くのグスクにはその石垣の存在すらなく、ときとしてウコーロのみが置かれ、拝所(御嶽)として聖域化されている。このような聖域は、幾多の歴史的な事実を語るだけでなく、21世紀の今日でも市民の心の中にそれが脈々と受け継がれている。これが沖縄の精神文化の基調ではないだろうか。
ところで、世界遺産に登録されている五つの大型グスクは、成立過程はともかくとして、グスク=城としての位置づけをしなければならない。
特に、首里グスクはグスクの中のグスクといっても過言ではない。1429年の三山統一から1879年の首里城明け渡し(廃藩置県)までの450年の間、琉球王国の政治・経済・外交・文化の拠点としての役割から城の骨格を造り上げた石積みは、王国時代の石工技術の集大成されたものと言える。
世界遺産に登録されたグスクはそれぞれの特徴を有しているが、その中でも城壁全体が重厚で美しい曲線で築かれた座喜味グスク。築城の際に岩山を平らに削り、険阻な地形を利用した石積みをしている勝連グスク。また、護佐丸が移り住んだ中城グスクは、各郭ごとに石積みの手法の違う六つの郭からなる。
首里グスクは、それぞれの石積みの共通性を見出すことができ、石積みの歴史を識る上で貴重な場であり、築かれた時代、グスクの規模やその機能、地形等によって様々な顔を持つ。
その一端を紹介すると、沖縄のグスクの石積みは、険阻な地形に沿って曲線で積まれ、平面形状からみれば凹凸の多い美しい曲線で描かれている。
また凸部分は力が集中するため、その部分は厚く崩壊を防ぐ工夫がなされている。
自然の石を加工せずに積んで行く「野面積み(のずらずみ)」、豆腐を切ったような形をしている「布積み」、そして5〜6角形の不定形の石を丹念に組み合わせて積んだ「相方積み」がある。この相方積みは、沖縄の石工技術の高さを伝えるものとして、1960年代に賀川豊彦氏によって世界に紹介され、注目を浴びたと言われている。

(石積みの積み方図)
『中城村村勢要覧』中城村役場企画課企画・編集
首里グスクはこの布積みや相方積みのタイプが多く見られ、長い歴史の跡が窺われる。しかも、首里丘陵の険阻な地形に沿って積まれているため、直角の隅角を造らず、全体に丸みを帯びている。15世紀後半に琉球に漂流した朝鮮人によると、城壁の美しさを称え、「一疋※の布がはためいているようだ」と形容している美しい石積みである。

※一疋(いっぴき)・・・絹物の大きさの単位。一疋は2反ほどの大きさ
本土の石垣の積み方は「穴太積み(野面積みの一種)」が主流であるが、本土と琉球文化圏の交差する九州地方の一部にも琉球文化圏の石積みと思われる様式が残っている。

(石積み文化圏の図)
漆原和子編著「石垣が語る風土と文化」より